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モスクワでの日本関係美術展覧会情報

 

 国立プーシキン美術館のキオスクにて、浮世絵の本、2巻が売りだされた。プーシキン美術館には、約3万点の版画が保管されている中から、今回は18世紀~19世紀後半の版画1500点を、カタログ1巻、2巻にまとめ、各巻が約500-600ページになる大作となっている。

 今回の本は、プーシキン美術館の主任学術研究員のヴェアタ・ヴォーロノヴァさんを中心に長年の研究、調査、管理をしてきた学術研究員たち、同時に日本、アメリカ、オランダ等、海外の専門家の協力を受けて完成された学術的なカタログとして評価されている。カタログは、ヴォーロノヴァさんの日本の版画の黄金時代の序文にはじまり、18世紀~19世紀前半の日本の版画、カタログ、版画のフォーマットの説明、版画家、印鑑署名の説明など、とても豊富な内容にもかかわらず、印刷部数は各1500部と、とても少ないのが残念だ。カタログの値段、2巻 2500ルーブル(約110$)として発売された。

 

 プーシキン美術館は、1912年5月、アレクサンドル3世芸術博物館として開設。美術館は、モスクワ大学の付属美術館として美術専攻の学生の学問研究の場として機能した。

 ロシア革命後、1937年、ロシアの国民的詩人 アレクサンドル プーシキンの没後100周年を記念して、国立プーシキン名称美術館と改名され今日に至る。

 プーシキンには、版画部と西欧絵画部が設立され、浮世絵では、広重の有名な東海道五十三次や名所江戸百景、歌麿呂の美人画や役者の絵など、世界的に有名なコレクションを数多くもち、イタリアのキユアソネ美術館につぎ、2番目に多い所有者である。

 浮世絵は、1800年代に海軍医師のA.B ヴイシェスラフツエフがもちかえり、その後、セルゲイ N.キタエフにより、多くの日本版画、絵画を、日本美術を海外に広めた岡倉天心の助言を得て収集され、寄付されたコレクションが現在の収蔵品の中心となっている。

 西欧絵画部は、13世紀から現代までの絵画を所蔵する。特にフランスを中心とした印象派、ポスト印象派のコレクション,フインセント フアン ゴッホ、ポール ゴーギヤン、アンリ マチス、パブロ、ピカソなどは、世界的に知られている。

 東洋美術の影響をうけたといわれる、19世紀後半の作品、マネ、モネ、ドガ、などの作品は、日本の展覧会でも紹介されている。

 これらのコレクションは、ロシア人の大富豪の実業家、モロゾフ、シチュキンによりパリを中心に収集されたといわれる。

 

 プーシキン美術館では、浮世絵の2巻の本の発売と同時に18世紀―19世紀の日本の版画展が開催された。展示作品は約200点、日本の昔の地名などが、よくこれだけ調べたと驚くほどきちん読まれていた。

 入場料:大人 100ルーブル(約440円)

      学生 10ルーブル

 木曜日 無料

 先生に引率された学生が館内で学芸委員やガイドの説明を受けている姿が多く見かけられる美術館である。

 

 5月から7月までは、日本国立博物館からクレムリン博物館に、大名の文化というテーマで72点の展示物が紹介される。大名の持ち物などが中心になり、日本から江戸文化研究者が参加してる。

 

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遠藤 紀子(えんどう・のりこ)

 

1966年、全ソ対外文化連絡協会からの招待により、日本青年代表団の一人として初めて訪露。その後、モスクワ大学文学部大学院に在籍、修了。1980年代に開設されたモスクワセゾン駐在事務所初代所長に就任。日ソ文化交流に注力し、その実績はソビエト現代美術展、モスクワコンテンポラリーアート展、ボリショイバレー学校日本支部(ソビエト バレエ インステイツート)開設、リヒテルの生誕84周年記念コンサートなど多数。現在は株式会社SAVVINSKAYA-SEIYO(サービンスカヤ西洋)社長。サービンスカヤ西洋では、ロシア初の100%海外資本(日本資本)によるオフィスビル「Japan House」を手掛けた。


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